罪人と被害者
「……」
ふきげんというか、いつも通りというか。
そんな複雑な表情になって、黙ってしまった。
ああ、引かれたかな。
まあいいや、おじさんに追い出されても、僕はなんとかやってける。
大人を騙して生きていくんだ。
「…お前名前は?そういや聞いてなかった」
「リク。凛とした空で凛空。
苗字は青田」
「そっか」
カキンと、小気味いい音が響いた。
ジッポの音と気づいて、直ぐにマイルドセブンの甘めの香りが漂う。
…タバコ、吸うんだ。
換気扇は回ってるみたいだから、そんなに煙はこちらに来ない。
「俺はな、ケイっつんだ。
上林圭」
なんでこの場で自己紹介しあってんだろ、と笑おうとして。
「お前ここに住めよ」
口から肺が出そうになった。