罪人と被害者
後ろを振り返れば、スーツ姿の小太りの男に声をかけている。
デブでもういかにもって感じだ。
…ターゲットを確実そうなやつにしたな。
それも、
「僕ね、お金に困ってるんだ…。なんでも言うこと聞くしどんな体位でも大丈夫だからぁ…おねがい?」
もじもじとやけに女の子っぽい仕草で狙いに行った。
小太りの男は真っ赤になって、そわそわし始めた。
もう財布取り出しそうな勢いだ。
「……」
ああ、もうっ!
なぜか俺はイラついて、気づいたら、だった。
「…おい、行くぞ」
「ぅえ?」
一一なんでこんなことしたのかわからない。
ただ、本当に気づいたら。
俺はその男の子の肩を抱くようにして、男から遠ざけていた。