罪人と被害者


「ちょ、おじさん!?」


ジタバタする男の子を、強く押さえた。


「…みすみす青少年を非行に走らせるわけにはいかねぇだろ。それに、」


ちらりと小太りを見る。

呆然としていて、獲物を取られたことを理解してないようだ。



「…それに、あんなのに体売っていいのか?」

そう言うと、視線を落とした。


「…だっておじさんが嫌だって言うから…」

「俺のせいかよ。しょうがねぇな」



この日、俺はなぜか手を伸ばしてしまった。


いつもならば見て見ぬ振りをして終わり、のはずなのに。


どうしてもこの男の子をほうっておけなくて、放っておきたくなくって。



なんでかわからない。


あの男に抱かれてたら、絶対俺は後悔すると思った。


俺のせいで気持ち悪い思いをしてる、なんて。嫌だった。



ただそれだけ、それだけなんだ。
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