罪人と被害者
◇◇◇
「…適当に座れ。安心しろ、掃除だけはしてある」
アングリと口を開けたままの男の子にそう言って、部屋に案内した。
結局、俺はこの子を家に連れて帰ってしまった。
まさか本当にホテルで抱くわけにもいかないし、聞けば眠る場所がないというし…仕方ない。
今夜だけ泊めて、あとは家に帰そうと決めた。
一人暮らしだから気兼ねなく招けた、ということもある。
「…おじさん、やっぱり高給取り?」
「その言い方はやめろ。…ただの会社員だ」
「ただの会社員が3LDKのマンションの最上階に一人暮らし?聞いたことないねぇ」
「俺の同僚はみんなこんなもんだ」
「あんたの基準で考えんなっつーの」
はあ、とため息をつかれた。
そしてなぜか「風呂は?」と聞かれる。
来て早々図々しいな、と内心思いながらそこを曲がったところと教えると。
「んー、じゃあ入ってくる。おじさん待っててね?」
寝るな、ということか。
まあいいやと冷蔵庫からビールを取り出して、プシュッとプルタブを開けた。