君色ドラマチック
「こっちのカーディガンは、オレンジ。太陽をそのまま吸収したような、明るい色」
「ふんふん」
「こっちのワンピは白っぽいベージュに、ピンクの花柄プリント。そうだな……慧の肌にキスマークがついた感じかな」
「こら」
もちろん、実際に商品になるまでに細かいデザインや色が変わってしまうことはある。
けれど、私は結城が自分のデザインへの愛を語るようなこの時間が好きだった。
彼と一緒にいると、産まれてから一度も見たことのないピンクや黄色、オレンジや赤が見えるような気がする。
結城が見ている極彩色の毎日が、彼の言葉を通して私の脳にビジョンとして伝わってくるような気がするんだ。
私たちはその後夜遅くまで、新作に関する議論を続けた。
いや、議論というより、私は楽しげな結城の話を、ずっと静かに聞いていた。