君色ドラマチック
感覚のテストがない推薦入試で入学した、専門学校の服飾学科。
なんとかかんとか2年に進級した私に、最大の試練が訪れた。
卒業制作だ。
平均4人ほどでチームを組み、デザインから縫製まで、すべてをこなして一着の作品を作る。
……のだけど、私と組んでくれる人は誰もいなかった。
学校に通ううち、友達もできたはずだったんだけど……気づけば皆さっさとグループを作っていて、私はつまはじきにされていた。
しょうがないか。色がわからない私を入れたら、気を遣うし、戦力として微妙だしね。
服を作ることにすべての情熱と命を懸けているような同級生たちに、私の存在は邪魔だったんだろう。
……けど、どうする?
卒業を諦めるか、すべてを一人でこなして期日までに納得のいく作品を作るか。
私は毎日一人で教室に残り、青い色鉛筆を持ってうなっていた。
そんなときだった。
「ねえ、杉原さん」
誰かが私の肩をたたいた。
ふと顔を上げると、いつの間にか前の席に反対向きに座った男の子が、背もたれをつかんだまま、私のことをじっと見ていた。