君色ドラマチック
私にも見えるよ。
同じような色の中でひときわ輝く宝石のような、鮮やかな青。
産まれて初めて、世界が極彩色に見える。
そんな、気がする。
この世界は、私が知っているよりずっと、綺麗なんだ。
結城はきっと、もっと色鮮やかな世界を見ているんだね。
「モデルさん、綺麗」
涙を隠そうとしてそんなことを言うと、
「パタンナーの腕が良かったんだよ。あんなに俺の意志を見事に再現してくれるとは思わなかった」
と、結城が肩を抱いたまま耳元で褒めてくれた。
とても優しい声で囁かれたから、我慢していた涙が一気に溢れた。
「なあ、慧。これからずっと、俺の服のパターンをひいてくれないか」
「えっ?」
「これからもずっと、一緒に服を作ろう」
結城が私を優しくのぞきこみ、親指でこぼれた涙をぬぐってくれる。
そんな仕草に、余計に涙が溢れた。
こくりとうなずいただけの私に、結城はそっと触れるだけのキスをした。