君色ドラマチック
2.ゆらぐ
結城の難解なデザインのパターンを引くのは、容易なことではない。
「疲れた……全然終わらない……」
うちの会社では、主に海外ブランドの権利を買い、日本版レーベルを立ち上げ、デザインをしている。
その中でも結城は万人受けしそうなコンサバな服ではなく、個性的なデザインが売りの、モード系のブランド担当。
そのため、パターンも自分で一から考えなきゃならないようなものも多く、毎日脳が悲鳴をあげている。
頭の中で出来上がりをイメージしながらCADに数値を打ち込んで線を引いていくのだけど……。
「ダメだ。休憩、休憩」
なかなか思い通りにいかず、席を立つ。
給湯室のコーヒーサーバーでコーヒーを入れ、一息ついていると……。
「こんなとこでサボってる」
ひょこっと顔をのぞかせた人がいた。
結城だ。今日は軍服みたいに肩にもボタンがついたシャツと、細身のパンツを履いている。
「サボってるとか言わないでよ。休憩だよ」
「はは、そっか。あのさ、ちょっと話があるんだけど」
「なに?」