君色ドラマチック
「そんなこと言われたのか?」
結城は驚いたように目を見開いたあと、眉間にシワを寄せた。
「ごめん。あの人、自信満々だけど仕事はできるし、そんなことわざわざ言うような人だなんて。全然知らなかった」
「知らないふりしててくれてればいい。だけど……今回は仕方ないけど、今後はあの人と仕事したくない」
「そうか。わかった」
そこまで聞いてもらっただけで、少し胸が軽くなっていく。
けれど、そんな私とは対照的に、結城は深く重たいため息をついた。
「けど、慧。これは仕事だ。他のデザイナーとの仕事も、少しずつやった方がいい」
「え……」
「社会には色々な人がいる。けど、どんな人とでも仕事はやらなくちゃいけないんだから。あの人とはできる、この人とはできない、じゃプロとして通用しない」
なにそれ。
私は、結城のブランドの専属パタンナーじゃないの?
今後は、結城以外のデザイナーの仕事を受けろって言ってるの?
「……社内だって、配置換えや担当変えはあるんだから。課長さんの判断によっては、他のブランドに回される日が来るかもしれない」
「そんな……」