君色ドラマチック


あいつって、そんなにいい男かなあ?

たしかに顔はいいよ。

無駄な毛が一本もない眉毛に、少し眠そうだけど綺麗な二重。

一般人だったら気障に見えそうな少し長い髪も、よく似あっている。

でもあいつ、学生時代はほんとチャラくて、襟足だけ長くした金髪で、両耳に何個もピアス開けて、ところどころ破れたデニムを履いてたんだよ。

しかもそんな時代錯誤な格好をしてるくせにアホみたいにモテてさ。結城に泣かされた女は数知れないって、評判だったんだから。


「あんたたち何やってんの?仕事しなさいよ仕事!」


ちょうど会議から戻ってきた課長からお叱りを受け、後輩たちが席に戻っていく。


「ねえ、結城君とすれ違ったけど、新作ができたんですって?」


課長に聞かれ、結城が置いていったファイルを渡した。


「あら、素敵。綺麗なシルエットねえ」


ちなみに課長はツーブロックでマッチョで、柄シャツとストールが大好きな、おしゃれなオネエだ。


「しかし、またあなたの苦労が増えたわね」


オネエ課長は苦笑し、耳たぶのピアスが揺れた。


「いつものことです」


私は短く返事をすると、パソコンに向き直る。

いつものCADの画面には、今まで作りかけていたパターンの線画が。

一休みしようと思っていたけど、また仕事が増えちゃったし……このままもう少し頑張ろうかな。


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