君色ドラマチック


ブルーライトを軽減させるメガネをかけ、マウスを持ちなおすと、ポロン、と短い音がした。

一度CADの画面を最小化し、メール画面を開く。

すると、受信箱に一通の未読メールがあった。

差出人は『結城玲音』。さっき出ていったばかりのあいつだ。

後輩たちもパソコンに向き直ったのを確認し、それを開く。


『新作について話し合いたいから、メシ一緒に食おう。今日は早く帰ってこい』


そうか。社内だと、落ち着いて話もできないものね。


『了解』


短く返事を返すと、即行で彼からのメールを削除した。

もう……プライベートな用事で社内メールを使うなって、いつも言っているのに。

いや、これはプライベートな用事なのか仕事の用事なのか、微妙なところだけど。


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