君色ドラマチック


「あれ……」


気がつくと、私はベッドの中にいた。

でも今度は見知らぬベッドじゃない。

ちゃんと、結城の部屋の結城のベッドだ。

部屋は薄暗くて、灯りを感じた方に寝がえりをうつと、おでこから何かがぽとりと落ちた。

拾い上げると、それは熱が出たときなんかに使う、冷却シートだった。

私、どうして……。

ぼんやりと灯りの方を見ると、結城が机に向かっていた。

その上の小さなライトだけが、弱弱しく部屋を照らしている。

結城の手が、すらすらと動いていて、シャープペンの走る音を心地よく感じた。

もしかして、仕事?


「……何のデザイン画描いてるの?」


声をかけると、結城の背がぴくりと動いた。

振り返ると、どこか安心したように、横たわったままの私を見る。


「ああ、別に仕事じゃないんだ。ちょっと浮かんだものを描いていただけ」


そう言う結城は、部屋着を着ていた。

一方、私は裸のままだ。


「覚えてるか?慧、風呂でのぼせたんだ」

「ああ……そうなの」


思い出すと、頬が熱くなった。

結局私はバスタブの中で、結城に抱かれてしまったんだった。

3か月ぶりくらいに恋人らしいことをして、そのまま気を失ってしまうなんて。


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