君色ドラマチック
「まだ寝ないの?」
「灯りが邪魔なら、向こうの部屋に行くよ」
「邪魔なんかじゃないけど……」
ひとりで結城の仕事をしている背中を見るのは、少し寂しかった。
久しぶりに抱き合ったあとに、寄り添って朝まで眠りたいと思うのは、ワガママなのかな。
「……いいや。俺も寝る」
私の気持ちが通じたのか、また表情にすべて出てしまっていたのか、結城は机の上に広げていたデザイン画らしきものと色鉛筆を片付けた。
「私こそ、邪魔しちゃったね」
灯りを消してベッドに入ってきた結城の胸に、鼻をつける。
「全然。大丈夫」
ねえ、結城。
結城がまだ、他の男の人に嫉妬してくれるなんて、思いもしなかった。
まだ、私を抱きたいと思ってくれる日が来るのを、どこかであきらめてもいたんだよ。
今日は少し怖かったけれど、やっぱり嬉しかった。
だから、私、結城を信じることにする。
浮気なんてしていないよね?
他のパタンナーに仕事を依頼していた理由は、時が来たら話してくれるよね?
ぼんやりと考えるうち、いつの間にか眠りについていた。
髪を撫でてくれる結城の手が、優しくて心地よかった。