君色ドラマチック
4.逃避
またまた数日後。
「……というわけで、この前のお話はお断りさせていただきます」
先日の櫻井さんに頼まれた仮縫いは無事に会議を通過し、そのまま商品化されることになったらしい。
またサンプルをやるから、と呼び出された社食で、私は頭を下げた。
「そうか。冷え切っていた結城との仲が、復活したと」
「そうなんです。すごく嫉妬されちゃったので、サンプルも遠慮します」
「浮かれやがって」
ちっと舌打ちをした櫻井さんは、アイスコーヒーを飲みながらこちらを冷たく見ていた。
「けど、結城と仲良しなのはいいが、お前の自立の話はまた別なんじゃないのか?」
「あ……そうですね」
そういえば、結城に別のパタンナーさんに何を依頼しているのか、聞くのを忘れていた。
あのあと、土日と二日もあったのに何してたんだろう……私本当に浮かれてたんだな。
「それにお前の話を聞いてるとさ、結城もお前に依存してるんじゃないかと思うぜ」
「え?結城が私に?」
聞き返すと、櫻井さんはコーヒーを見つめたまま、淡々と言う。