君色ドラマチック


20分後……食事用のテーブルに乗ったのは、結城が作った牛肉のたたき、カボチャのスープ、私が作ったというか野菜を乗せて市販のドレッシングをかけただけのサラダ。

美味しそう!と言えない自分が辛い。


「いただきます」


いつものように向かいあって食事をする。

かぼちゃのスープをスプーンですくって口に入れると、優しい甘みとコンソメの風味が舌の上で広がった。


「おいしい」


結城の作る料理はいつも美味しい。思わず顔がほころびてしまう。


「だろ?肉も食べろよ。お前は痩せすぎだから」


そうして、和やかな食事の時間が始まった。


「そういえば新作のデザイン、見たよ。1着すごく可愛いと思ったワンピースがあったの」

「そう?嬉しいな。どれだろう」

「胸にリボンがついている、ストライプの」

「ああ、あれな。あれ、襟が立ってただろ?襟の生地をびよーんと伸ばして、そのまま結べるようにしてな」


牛のたたきの香ばしさとジューシーさを同時に味わっていた私は、思わずむせそうになった。


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