君色ドラマチック
手が震える。
紙カップの中のコーヒーに、波紋が広がる。
そういえば、結城は最近、私に他の人とも積極的に仕事をしていくように、みたいなことを言っていたっけ。
誰とでもできるようにならないと、私が困ることになるから。
そうか。結城はもう、独立を視野に入れているってことなんだ。
だけど、私の存在が足かせになっている。
色覚異常で、腐れ縁で……裏切れば、ひとりで歩いて行けないであろう私のことを、気にかけてくれているんだろう。
『結城さんの実力と才能を、つぶさないでください』
私だって、そんなことしたくない。
嫌だなあ。そういう夢があるなら、どうして私に言ってくれなかったの?
部外者のあの人じゃなくて、私に言ってくれればよかったのに。
涙が一粒、コーヒーの中に落ちた。
それをぬぐい、唇を結んでぐっと前を見る。
あまり馬鹿にしないでほしい。
私だって、やるときはやるんだから。