君色ドラマチック
1週間後。
「終わった!」
ブルーライト軽減用のメガネをはずし、大きく伸びをした。
CADの画面には、結城の新作のデザインの最後の一枚のパターン。
全てを一つのファイルにおさめ、さっそく社内メールで送信する。
結城の宛先にファイルを添付し、件名に『新作パターン』と入力。
本文を打ち込んで送信ボタンをタップする瞬間、少し指が震えた。
「課長、終わりました。結城に送信済です」
「え、まさか新作のパターンが全部上がったの?」
「はい」
「もう!?どうしたの。パターンの神でも降りてきた?」
課長は席を立ち、私のパソコンをのぞきこむ。
デザイン画とできあがったパターンを見比べ、ふむふむとうなずいた。
「手を抜いたわけでもないようね。って、あなたが仕事で手を抜いたことなんて、一度もなかったっけ。お疲れ様」
肩をぽんと叩いてデスクに戻ろうとする課長を、呼び止めた。
「あの、少しお話が」
「なに?」
「ここでは、ちょっと……」
後輩たちはまだパソコンに向かっている。
彼女たちの仕事の邪魔をしちゃいけない。