君色ドラマチック
「あのリボン、襟が伸びたものなの?別で作って、首の後ろにボタンでつけられるようにすればいいじゃない」
「それだと、外して洗ったあと、絶対外しっぱなしで、衣替えのときなくすだろ。あのワンピースはリボンありきなんだよ。リボンのないあの服は、卵のないおでんと一緒」
そうか。おでんには必ず、味の染みたゆで卵がいるものねって……ちょっと違うような気が。
もういいや。結城は服のこととなると、彼が納得する反論をしない限り、絶対に妥協してくれない。
面倒臭いけど、結城の言う通りの襟を作るしかないか……。
こんな感じで、食事の時間も、いつも服の話題で時間が過ぎていく。
片づけを終え、コーヒーを入れていると、結城が奥の部屋から生地のサンプルを持ってきた。
「新作の生地の候補。あと、色はいつものように書いておくから」
ソファに腰かけた結城の隣に座ると、デザイン画と生地のサンプルが並べて置いてあった。
結城の細くて長い指が、デザイン画にカラーコード表を見ながら番号を書き込んでいく。
それはもちろん、色のわからない私のため。