君色ドラマチック
「一番お世話になったのは、課長です」
「何言ってるのよ。結城くんに一言、報告してきなさい」
「……メールしておきます」
「ダメよ!今の若い子は大事な話でもメールやラインで済ませようとするんだから!ああ嫌っ。私そういうの大嫌いだわーっ」
課長はその場から逃げるように、くねくねと内股で走っていってしまった。
「課長!どこへ……」
オカマ走りなのに速い。
課長はあっという間に姿を消してしまった。
仕方ない。辞表は帰るときに課長の机に置いていこう。
ドアを開けると、一瞬後輩たちがこちらを振り向く。
しかし二人とも忙しいためか、すぐにそれぞれのパソコンに向き直った。
私にはもう、仕事はない。
自分の席に戻って、パソコンをシャットダウンしようとした。
そのとき、まだ社内メールのアプリケーションが開いたままだったことを思い出す。
見ると、新しいメールが一件届いている。
画面をタップすると、シンプルな一文がそこに現れた。