恋桜
「こら、川崎!!
後ろ向くな!!
あと松下、自己紹介ありがとな。
今、一番後ろの席に座ってる、小林って奴の隣の席が空いてるから、そこに座ってくれ。」
そう長瀬先生に言われた松下君が、こっちに向かって、ゆっくり歩いてきた。
「あーあ、怒られちゃった。
私、川崎愛未(かわさきまなみ)。
よろしくね、小林さん!」
「あっ、うん。
こちらこそ‥よろしくです。」
あーまただ。
またやってしまった。
私は、こういう時に、未だ人見知りが治っていない自分のことがすごく嫌になる。
せっかく川崎さんから話しかけてきてくれたのに、私の返答が、とても素っ気ない感じになってしまったから。