恋桜
「小林さん‥だっけ?
小林さんさ、先生の話、全然聞いてなかったでしょ?
僕、松下俊也。
ほら、一応、隣の席だしさ、名前くらい覚えといてよ。
僕の自己紹介もどうせろくに聞いてなかっただろうし。」
‥最低だった。
せっかく転入生の松下君の方から私に声をかけてくれたっていうのに、内容が内容だった。
私は絶対、初対面の松下君のことを傷つけてしまったんだなと確信した。
私が上の空だったばっかりに‥
「あっ、えっ、ごめんなさい!!
確かに先生の話は、全然聞いてなかったけど、松下君の自己紹介はちゃんと聞いてたから!」
私なりに、精一杯フォローしたつもりだった。