恋桜
「本当にごめんなさい。
ちょっと考え事してたら、つい‥。
いつの間にか上の空になっちゃってて‥。
あの!!
私、小林舞桜です!!
これからは隣の席なんで、何かあったら何でも聞いて下さい!」
「別に謝ることないよ。
大した自己紹介じゃなかったし。
それより小林さん、ありがとう!
もしなんかあったら、お言葉に甘えさせてもらいます!
本当に何でも聞いちゃうからね?」
「はい、もちろん!」
私は、松下君との会話を終え、ふと自分の左側にある窓から、外を見た。
たくさんの桜の花びらが、風に吹かれながら舞っているのが見えた。
私は、そんな光景にしばらく見とれていた。
と同時に、あの日からまた一年が経ってしまった‥そう思った。
切ないような嬉しいような春。
私は、そんな今までと何一つ変わらないであろう春を今年も迎えた。