イジワル上司の甘い求愛
「部署異動して、もちろんスムーズに物事が進まないことだって、トラブルがあることだって理解していた。これまでだって企画部でも大きなトラブルにも見舞われたことだってある」
さっきまで朗らかに笑っていた浦島さんの声のトーンがほんのわずかに低くなった気がする。
「異動して1週間くらいして初めて気が付いたんだ。些細なトラブル1つに心穏やかに過ごせないことだってある。だけど企画部でどんな辛いことがあっても表情一つ変えずに仕事していられた。何が違うかを考えた時に1番最初に思ったのはチャキが居ないってことだった。チャキにそんな弱っている姿を見せたくなかったんだ」
暗がりの奥まった席で良かった。
顔から火が出そうなほど顔中に熱を帯びているのだから、きっと私の顔は真っ赤になっているにきまってる。