イジワル上司の甘い求愛
◇◇◇
バーを出ると夜風が冷たくて、私は思わず肩を竦めた。
ポケットに手を突っ込んで、私に歩幅をあわせるようにして隣を歩く浦島さんの横顔をみると「何?」と私の視線に気が付いて目を細める。
私はそれがデートのようにも思えて、恥ずかしくって、慌てて首を横に振る。
駅までの道のりはお互いに口数は少ないけれど、それでも以前のような居心地の悪さは感じない。ううん、むしろこの空気感も浦島さんとなら居心地のよささえ感じてくる。
「じゃあ」
「今日は、ありがとうございました」
駅の改札口の前で挨拶を交わして、浦島さんが私に背中を向けて歩き出そうとした時だった。