イジワル上司の甘い求愛
「あのっ」
そこまで言葉が口をついて出て、それから口ごもってしまったのは、驚いた表情で振り向いた目の前の浦島さんより私の方がずっとびっくりしてしまったから。
自分が取った咄嗟の行動に、金魚みたいに口をパクパクさせるしかない。
だって、右手で浦島さんの左手を握りしめて、改札口に向かう彼の足取りを止めてしまったのだ。
あぁ、やってしまった。謝らなきゃ!!
なんて気持ちになったのは、少しだけ頭が冷静になった時のこと。
私の起こしてしまった行動に、自分の頭の中は大パニックで。
この行動をどうにか説明しないと……
焦った私がわたわたしながらも、案外スラスラと自分の想いが口をつく。