イジワル上司の甘い求愛
「やっぱり、忘れてください」

「えっ?!」

浦島さんは私の思わぬ発言に明らかに困惑した顔して眉間に皺を寄せる。



「さっき、これからも一緒にご飯に行く約束したことも。卒業式のこと覚えてるって言ったことも」

「ちょっ、何言ってる……」

「私、今日飲みすぎて頭おかしくなってるんです。忘れてください!!ごめんなさい。今夜はごちそうさまでした」


私はそれだけを口早に伝えると、逃げるように改札口の方へ走った。

「おい、チャキ!!ちょっと待って!!」


背中越しに浦島さんがそう呼び止める声が聞こえたけれど、振り向くことなく駅のホームへ走った。


< 129 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop