イジワル上司の甘い求愛


「お待たせいたしました。企画部、有瀬です」

緊張で声が固くなる。

「お疲れ。そんなかしこまらないでいいのに」

電話越しに可笑しそうに笑う柔らかな浦島さんの声が聞こえてくる。

久しぶりの浦島さんの声に否が応でも心が躍りだしてしまう。

「突然だけどさ、今晩空いてる?」

「えっ?」

思いがけない質問に驚いた私の声が予想以上に大きかったようで、フロアの視線を一気に集めてしまって私は思わず身を小さくする。


「カイセイハウスとのプロジェクト大成功だったんだって?今晩、カイセイハウスの大岩さんと飲むんだけど、よかったら有瀬さんもどう?せっかくだから有瀬さんも誘って、3人でプロジェクトの打ち上げをしようって話になったんだ」

浦島さんの声は明るい。

ここ最近忙しかったのは、浦島さんから引き継いだカイセイハウスとのプロジェクトが忙しかったのも一つの要因で、それも先週末に全ての工程が終了して一段落ついたところだったんだ。

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