イジワル上司の甘い求愛
小さく頭を横に振った私に浦島さんは大きなため息を吐きだした。

「つまり、大岩さんから何も聞いてなかったってことか」

浦島さんの言葉に私がコクリと頷くと浦島さんは思い切り頭を抱えた。


「じゃあさ、今度はちゃんと聞いておけよ」

何かを吹っ切るかのように、浦島さんが口を開く。

浦島さんがこちらを向いていたことに気が付いて、私も浦島さんの方を振り向く。

真っすぐ見つめられた瞳に私は動くことが出来ない。

浦島さんの瞳が揺らいでる。

「俺、チャキのことが好きだ」

大きく胸が弾んで、息が止まるかと思った。

もう何度も浦島さんへの気持ちを自分の中で封印してきた。

もう封印することさえしないでいいのに。
気持ちを解放していいのに。


未だに頭が混乱している私は、何も口にすることが出来ないまま。


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