イジワル上司の甘い求愛
「好きなら、両思いだからキスしちゃえよ」
「ほら、男だろ?」
なんなんだ、最近の小学生は。
黙っている私に浦島さんも小学生みたいな好奇の目を私に向けていて、私には身の置き所なんてない。
「キ――ス!! キ――ス!! キ――ス!!」
リズムよくキスのコールが始まる。
あぁ、これはなんだか4年前の浦島さんと玲美さんのステージでの大事件の二の舞みたい。
嫌な記憶が一気に脳裏に呼び起こされた。
子どもたちのキスコール。
浦島さんの熱い眼差し。
その場にいることが、もう耐えられなかった。
「……ごめんなさい!!」
浦島さんに思い切り頭を下げると逃げるように公園を後にした。
追いかけてくる浦島さんを振り切るように、私は猛ダッシュで逃げてしまった。