イジワル上司の甘い求愛

メニューを頼み終えて、梨沙はあたりを一通り見渡す。

会社にほど近いこのカフェは、会社の関係者が立ち寄ることだってあるから話題によっては周囲を気にしないといけないからなんだけど。

「千晶、噂何も聞いてない?」

「噂ってなに?」

声を潜めて、少しだけ身を乗り出して周囲を気にしながら口を開いた梨沙に私は口を傾げながら質問を返す。

私の反応に呆れたようなため息を1つついた梨沙が、もったいぶるように話始める。

「早めに冬休みに入った千晶は知らないだろうけどね……社長令嬢の玲美さん、結婚するらしいのよ」

なんだ、その話か。

「そうなんだぁ」

浦島さんから聞いてたなんて言えなくて、初めて知ったような反応をしてみる。


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