イジワル上司の甘い求愛

「あのね、梨沙。私も大ニュースがあるの……」

梨沙の様子をみながら私はおもむろに口を開いた。

きっとしばらく社内は浦島さんと玲美さんの話題で持ちきりなんだろうな。
明日にはまた、噂が大きくなっているはず。

その前に梨沙にはちゃんと自分の口から説明しておかないと!!


「なに、冬休みに実家帰ってなにかあった?」

「うん」

「えぇ、何だろう?お見合いでもするとか?」

梨沙はどうしてこんなに鋭いんだろう。

そう思いながら、私は首を横に振る。

お母さんから勧められたお見合いは、初詣に行った日の夜に断った。

『今度、紹介しなさいよ』

帰る直前、お母さんはそんなこと言いながら縁談をお断りしたことを責めずに送り出してくれたんだった。

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