イジワル上司の甘い求愛
「それじゃあ、何なの?」
梨沙がそう尋ねたから、今度は私が声を潜める番になる。
「あのね、私、浦島さんから告白された」
「えぇぇぇぇ!!」
せっかく声を潜めたのに、梨沙がひっくり返るほどの勢いで素っ頓狂な声をあげる。
店内のお客さんの視線を一気に浴びて、私は思わず肩を潜めながら小さくなった。
だけど、梨沙はそんな他の人々の視線なんか気にすることが出来ないほどに目をぱちくりとさせている。
「ちょっ、ちょっと、どういうこと?」
「どういうことって、言われても……。だけど、さっき梨沙が言ったみたいに結婚したいとも言われてないし、プロポーズなんてされてもいない」
口をもごもごしながら伝える私に、梨沙は自分を落ち着かせるかのようにコーヒーを一口喉に流し込む。