イジワル上司の甘い求愛
もう10日かぁ。
1つため息を吐いて、パソコン画面に視線を戻した瞬間のこと。
「チャキ、何やってんだ?」
「ひゃっ!!」
10日も会っていないと思っていた張本人の声が一人きりになったはずのオフィスの、しかも耳元で聞こえて、思わず驚きの声をあげる。
何やってるって、聞きたいのはこっちのほうだ。
心を落ち着かせながら、ゆっくりと振り返ると惚れ惚れするほど整った顔立ちが柔らかな表情を見せている。
仕事中の凛とした佇まいはすっかり姿を消しているってことは、どうやら浦島さんは仕事終わりのみたいだ。
浦島さんは、驚いた様子の私を肩を少しだけ揺らして笑うとそそくさと私の隣の席に腰を下ろす。