イジワル上司の甘い求愛
さっきからパソコン画面上では矢印の形をしたカーソルがあちこちを所在なさげに意味もなく動き回っている。
浦島さんが私の隣に座ってからもうすでに15分。
進まない、全くと言っていい程進まない。
「進んでないんだったら、もう今日は止めたら?」
小さな欠伸を押し殺したら、隣でノートPCを開いて仕事していた浦島さんがぶっきらぼうにそう口にしながら、自身のパソコンをパタンと閉じる。
「進んでないってわけじゃぁ……」
「さっきからぼんやりしてばっかりだろ?効率が悪いだけだ」
つい最近まで一緒の部署で働いていたのだから、きっと私の言い訳だって、私がぼんやりしていたことだってきっとバレバレ。
私はもう返す言葉が見つからない。