イジワル上司の甘い求愛

「そう？体調悪くないならいいけど。それよりさ、来週のハウスメーカーとの懇親会、有瀬さんも出席してほしいんだけど」


えっ？

どうして、私が？

「これ、業務命令。部長への承諾ももらってる」

きっと不満顔してたんだ。

断る理由を探す前に、浦島さんに言われて、がっくりと項垂れるしかない。



いくら犬猿の仲だって噂されていても、同じ企画部に所属しているのだから、浦島さんも私も今、どんなプロジェクトを抱えているか、その仕事量位ならお互いに把握できている。


役職はないものの部長の右腕として動いている浦島さんの仕事量が膨大なことだって知っているし、浦島さんは私だけじゃなくて他の社員の仕事量と進捗状況をしっかり把握しているはず。

来週、私には大事なプレゼンだって控えているというのに。

もしかして一種の嫌がらせ？


私は眉間に皺を寄せ、斜め向かいの席に座る浦島さんを睨みつける。

けれど浦島さんは、気が付いていないのか表情一つ変えずにパソコン画面に向かっている。