イジワル上司の甘い求愛
さよなら、太郎さん

◇◇◇

「俺、高校の頃のあだ名が『太郎』だったんだよ。しかも、俺3兄弟の次男なんだけど、3兄弟全員のあだ名が太郎で、家に電話で『太郎くんお願いします』って言われると、電話に出た親が『何番目の太郎ですか?』って聞いてたんだよね」


「浦島さん、その話、めっちゃおもしろい」

明らかに浦島さん狙いのハウスメーカーの新人の女の子が浦島さんの隣をがっちりキープして、ケラケラと笑っている。


『何番目の太郎ですか?』のくだり、何回も聞いていて私、もう覚えちゃったよ。

それに浦島さん、高校の頃には携帯持ってたじゃん……。


「えっ?そう?これ、浦島あるあるなんだけどな」

そう言いながら、若い女の子にちやほやされて、まんざらでもなさそうな表情浮かべてる浦島さんを横目で見て、思わずため息が漏れる。


< 33 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop