イジワル上司の甘い求愛

浦島さんにとっても、会社にとっても一大プロジェクトの懇親会。

『堅苦しい懇親会じゃないから』

浦島さんに、昨日言われていたんだけど失礼があってはいけないと悩みに悩んで、いつもは着ることのない小花柄のひざ丈のワンピースにビジューの輝くカーディガン。


だけど、懇親会の会場は、全国各地の日本酒が豊富に揃っている、地鶏が名物の個室居酒屋。



気合入れて来たのになぁ。


参加者は15人ほどで、ハウスメーカーの担当者や設計士、インテリアコーディネーターなど様々。

そのうち私を含めた5人ほどが女性で、うち2人は明らかに浦島さん狙いなのが透けて見える。



男性陣は、浦島さんを含め気心知れた仲なのか、日本酒やビールを片手に話に花が咲いている。

知らない人たちばかりで、知っているのは浦島さんただ一人。

しかもその浦島さんはというと。両手に華で私の存在なんか知らんぷり。


こんな状況で、テンションなんか上がるわけがないじゃない。

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