イジワル上司の甘い求愛

個室の一番隅の席で、私は柚子胡椒の効いた地鶏の炭火焼きを一口頬張る。

きっと、この料理だってとても美味しいのだろうけど、テンション低飛空状態の私にとっては、なんだか味気ない。

「初めまして。僕、カイセイハウスの大岩です」

「あっ、初めまして。私……」

「知ってます。浦島さんの後輩の有瀬さん。浦島さんからお話は聞いてます」


1人で隅にいた私にふと声をかけてくれたのは、中肉中背の全身からいい人オーラが出ている大岩さん。


カイセイハウスって、今回のプロジェクトを取り仕切る大手のハウスメーカー。

大岩さんと形式通りの名刺交換を行い、改めて小さく乾杯する。

「皆さん、仲いいんですね」

ポツリと口から出た言葉に、大岩さんは満面の笑みを見せる。
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