イジワル上司の甘い求愛

「実はこのプロジェクトが始まったのは、半年前のことなんですけどね。企画自体は2年近く前から浦島さんを中心に水面下でずっと動いていたんですよ」


「へぇ」

そんなこと知らなかった。

私は思わず、浦島さんの方に視線を移してみたけれど、浦島さんは相変わらず美女二人にちやほやされて鼻の下を伸ばしてる。


感心したのに、損した気分。

あぁ、もう!!
手元にあるおしぼりを投げつけたい気分だ。


「その顔じゃ、何も聞かされていなかったって感じですね?」

私はもう頷くしかない。

「元々、僕と浦島さんは住宅展示場のオープンイベントで一緒に仕事したのがきっかけで知り合ったんです」


その仕事、なんとなく覚えている。

郊外の広い土地に作られる新規の住宅展示場に設置する家具を考案する仕事だ。

確か社内プレゼンがあった仕事で、浦島さんに負けたくないと思い始めた頃、全力でぶつかった私が見事に砕け散った企画だ。

もちろん、選ばれた企画は浦島さんのものだった。

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