イジワル上司の甘い求愛


「電車?駅まで送っていくよ」

「いえ、大丈夫です」


右隣に並んだ浦島さんを視界に入れないようにして真っすぐに前だけを見つめて、ぶっきらぼうに伝えたら、浦島さんは困ったようにため息をつく。


「誘ったのは俺だから、送らせて」

有無を言わさない口調で、浦島さんはきっぱりと伝えて私の歩幅にあわせて歩き出す。

誘ったって言われても……。業務命令って無理矢理参加させたんじゃない。


少しだけ恨めしい視線を浦島さんに送ってみたけれど、浦島さんは素知らぬ顔して私の隣をキープしている。


一度決めたことはとことんやり遂げる。

それが私の知ってる浦島さんの仕事スタイル。ううん、きっと高校の野球している時からそうだ。

きっと浦島さんは駅までずっと隣を歩くつもりなんだろう。


そう思ったらなんだか早足で歩くのも馬鹿らしくなって、私はスピードを緩めた。

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