イジワル上司の甘い求愛

「今日のメンバー、いい奴らばっかりだったろ?」

歩く速度を緩めた私に気が付いた様子の浦島さんが、口を開く。

「そうですね」

「仕事も出来るやつばっかりなんだ。大岩さんなんか特にすごい」

そっけない返事だったというのに、浦島さんは嬉しそうに笑った。

表情を崩して笑った浦島さんの口元から少しだけ見える白い歯。
その笑顔は、どこか少年のままで、野球部の頃の浦島さんと変わってなんかない。


私の好きだった頃の浦島さん、ううん、『太郎さん』のまま。


気が付いたら頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいるような表情をして私を見つめている浦島さんに気が付く。

「有瀬さん、どうした?」

「えっ!?あぁ、あのっ……なんていうか、大岩さんって全身からいい人オーラ出てますよね」

見つめられて焦った。回らない頭で急いで話題を探して取り繕う。


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