イジワル上司の甘い求愛
「うっ、浦島さんっ!!」
驚きを隠せなかった私の声が、静まり返った廊下にやけに響く。
「お疲れ様。有瀬さん、残業?」
「……はい、まぁ、そんな感じです」
私とは正反対に浦島さんはすぐに冷静さを取り戻して、落ち着いた様子で問いかける。
さっき、こんな時浦島さんがいてくれたらよかったと考えていた私には、このタイミングでご本人様登場とあって、ドギマギする。
「うっ、浦島さんこそ、今日はどうしたんですか?」
カイセイハウスとのプロジェクトのこといろいろ聞きたいことだって山積みだし、そのほかの業務だって教えてもらいたいことがある。
だけど、やっぱり私の口をついて出たのはそっけない態度と平坦な冷たい言葉。
自分でも嫌になるほど、どうしてこうも可愛げがないのだろう。