イジワル上司の甘い求愛
「あぁ、帰ろうと思ったら企画部の電気が点いていたから、少し寄ってみたんだ。一人?」


言われてみれば、浦島さんの手にはきっと特需販売事業部に異動して新調したらしい真新しい鞄がある。

私は浦島さんの質問に小さく頷いて答えると、浦島さんは一瞬躊躇しながらもゆっくりと企画部の中に入ってくる。


「なんか、すでに懐かしいな」

ぽつりとそう言って頬を綻ばせる。

それは、こっちのセリフなんだけどな。

異動してたった2週間しか経っていないというのに、浦島さんの姿が懐かしいと感じてしまう。

長身で細身、凛としたスーツ姿の立ち姿。

だけど背中がやけに大きく見えるのは、きっと私が今、浦島さんに頼りたいせい。

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