イジワル上司の甘い求愛
きょ、距離が近い。
こんなに近くで浦島さんに接することがこれまでだってほとんどなかったから、私の胸の鼓動が一気に加速する。
ホワイトムスクと煙草の混じった浦島さんの匂いが鼻腔をくすぐる。
意識せずにはいられないというのに……。
「ここの収納、どういう用途を考えてる?」
私のパソコンのマウスを動かしながら、私のデザインをチェックする浦島さんの視線は真剣そのもので私一人が意識していたらしいことに気が付いて、急に恥ずかしくなる。
「掃除用具や紙類なんか日用品を入れたりするのかなって考えています」
浦島さんの真面目な表情につられるように私も気持ちを引き締めながら答える。
カイセイハウスの売りである収納スペースの充実。
階段下の収納スペース掃除用具やティッシュなどの生活用品をストックする場所には少々広すぎる。
だけど、季節の家具をすべて詰め込めるほどのスペースもないから、私の頭をずっと悩ませている。
それに、2階にウォークインクローゼットが設計してあるから、なおさらだ。