イジワル上司の甘い求愛
「でも、こういうことって私たちの守備範囲の範疇じゃ……」
「大岩さんに相談してみるといい。家具屋が考える家なんだから」
そっか、なるほど。
初めてプロジェクトのコンセプトを、心底理解できた気さえしてきた。
「だけど、今から変更って間に合うでしょうか?」
カイセイハウスだってずっと待ってくれているわけじゃない。
壁だったところが扉になる。
それなりの変更だって必要になるはずだし……
私の不安がきっとその言葉に現れてしまったみたいだ。
「大丈夫だ。だから再来週の打ち合わせが来週になったんだろ?」
えっ?!
思わず息を呑んだ。
浦島さんだってしくじったというような苦い顔して小さく舌打ちするのが分かった。