苺味の雫


「おはよ!!!」

「おはよう夢夏、遅かったなー」

新聞を片手に珈琲を飲み、こちらに目を向けることなく挨拶する父

「どーせまた夜中までケータイしてたんだろー」

スポーツバックを肩にかけて颯爽と私の隣をすり抜けて玄関へ向かう弟の夢斗(ゆうと)

「う…うるさいなぁ…早く行けよクソガキ!」

「はいはい。大して変わらないけどな。」

噛み付くと華麗にスルーされ、

「いってきまーす」

と、家を出た。

「あんた達少しは仲良くしなさいよ」

呆れたように呟くお母さん

「やだよあんな可愛くない弟」

ぶつくさいいながら洗面所に駆け込み

ササッと顔を洗って歯を磨いた。

バタバタバタ

「夢夏あんた朝から騒がしい!」

お母さんに小言を言われながら、身支度を整えると
朝ごはんを諦めて家を飛び出した。

「いってきまーす!!!」

青い空に雀が3羽。

なんか、暖かい

「春だねぇ…」

軽快に走りながら空を仰ぐ



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