風変わりなシュガー


 床も天井もふいて掃除をし、窓を開けて空気の入れ替えをする。そして出来るだけ素朴な小物だけを飾ることにした。

 木や葉や貝殻などの、自然のもの。この夏に私がいた場所でいつも見ていた物たちで部屋を飾る。

 それは思えば、きっと一種の儀式だったのだろう。

 過去は、バイバイ。だってシュガーもそう言ってたから。

 部屋を片付けるといいことがあるっていう風に昔から言うのはしっていたけれど、実際に、その後、私には転機が訪れたのだ。

 何と就職先が決まった。

 決まったのだ!それも偶然の出来事だった。

 母のおつかいで街へと出た時に、大きな文房具屋さんへ寄った。封筒と便箋、それからボールペンをいくつか買って、その時にレジの横に貼ってあったアルバイト募集の張り紙を見たのだ。

 だからその場でレジに居た男性に聞いた。

 応募したいのですが、面接日の設定をお願い出来ますか?って。

 その大きな文房具屋さんの名古屋の本社には、就職活動の時に落とされている。だけど何もしていない今は暇でもあるので、とりあえずアルバイトであっても仕事を手に入れる必要があったし、落ちたところだけど活動していたために会社のことについては色々知っている。いい企業だと思ったから受けたので、末端のアルバイトでも入れたらいいな、と思ったのだった。

 するとまず最初の偶然で、そのレジにいた男性は副店長さんだった。

 そして次の偶然で、今時間があるなら面接しましょう、履歴書はここで書いてくれたらいいから、という話になって、店長室へ連れて行かれた。


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