風変わりなシュガー

 人生というのがいつまでも順風満帆でないってことくらい、ちゃんと判っていた。

 だけど、管理された日本という国の平均的な中流家庭に育った私、挫折を味わうのが遅すぎたのかもしれない。一日二日で気持ちを切り替えることが出来るようなちょっとした挫折なんかじゃなく、強烈な挫折はこの年になるまで味わったことがなかったのだ。

 だから、酷く落ち込んだ。

 これが奈落の底かってほどに。

 ここで一つ質問。ねえ神様仏様、その他世界中で信仰されているあまたの対象物たち、答えがあるなら教えてほしいの。

 酷く落ち込んで、もうこのままでは地球の真ん中まで沈みこんでしまうかも、というほどの状態の時、一体どうすることが正解?

 日本人だから日本人が受ける「学生時代」を順当にこなしてきた。大体が、正解は一つきりで、それを解答欄にかくことに必死になってきたのだった。

 国語でさえも、回答があるの。主人公はどう思いましたか、って。そんなの複雑な人間の心の本音までは誰も知らないはずじゃあない?って思うのだけれど、とにかく点数を取るためには回答があって、それをちゃんと埋めることが生徒の役割だった。

 私もそうやってきた。今までずっと。

 だから、言われたことをやり、言われたように進み、それでいざって時に放り出された真空で、途方に暮れてしまったのだった。

 どうしていいのか、さっぱりわからずに。

 世間の人はどうしているのだろう。

 壁にぶつかった時?

 すごく落ち込んだ時?

 世を儚んだ時?


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