風変わりなシュガー
額から滴り落ちる汗を拭いとって、私はリュックを背負い浜辺に降りていく。鞄から出したシートを熱くなった砂の上において、服をパッパと脱いでいった。
水着は着ていた。
だからそのままで、私は海へと近寄っていく。
汗をかいた体に風が涼しい。
今日は浮き輪はもってなかったから、冷たい水で胸元を洗ったあと、私は一気に海へと身を沈めた。
最初は結構な試練。だって真夏の海とはいえ、やはり日本海の水は冷たいのだ。だけど頭まで潜ってしまえば、冷たさは一瞬のことであとは爽快感の波がやってくるのだけれど。
透明度の高い日本海で、私はひたすら潜り続ける。
太陽の光が海の中へも差し込み、足の下に広がる白い砂を煌かせている。さらさらと素肌を通りすぎる水。それから小さくて砂と同じ色をした小魚たち。何度も深く潜っては、その光景を楽しんだ。
口から吐いた息が大小の泡になって水面へと昇っていく。光って揺れて、でも壊れずにのぼる。それを水中で見ていた。
ああ、いい気持ち。
どうして前に来たときには、泳がなかったのだろうか。同じだったのに。同じだったに、違いないのに。
自転車での55分で汗だくだった体が冷やされると、私は一度浜辺へと上がる。
自転車で疲れきった足に重力が厳しい。ずるずると必死の思いで重たくなった体を持ち上げて、ううう~と唸りながらシートの上へと倒れこんだ。
「・・・ああ、あったか~い・・・」