風変わりなシュガー
「ビール!っていいたいけど今日はダメだよな、運転してるし。コーラで」
「オレも。あとこれ、チキンサンド」
はーいと小さく呟いて水を出し、私は伝票に書き込む。カウンター席からシュガー男が偉そうな態度で私に言った。
「来るっていっただろ?しかも一人じゃなくて、友達まで連れて」
だからどうした。そう思いながら、口先ではお礼を言った。
「ありがとーございまーす」
「何だよ全然嬉しそうじゃない言い方。あ、間違い犯す前に一応確認するけどさ、二人は夫婦か恋人?」
私がぎょっとして振り返るのと、市川さんが首を振るのとか同時だった。
「いいや、俺がここの持ち主で、この子は夏の間のヘルプです」
あ、良かった~人妻だと大変だからさ~ってシュガー男が笑う。私は冷や汗をかきながら更に奥へと一歩下がった。あんた、一体何するつもりなのよ!?
コーラをトールグラスについで前から出しながら、市川さんが話しかける。
「あれって君の?ここら辺では珍しいね、アメ車」
「そう、オレの」
ニカッとシュガーが笑う。
「何というか・・・廃車寸前って感じだけど」
「そう、修理に出そうと思ったらすんごい金額提示されたから、払えないし、もうのり潰そうと思って。まだ一応動くし。でもかっけーでしょ?クラシックコンバーチブル」
シュガーはニコニコと喋っている。焼けて真っ黒のむき出しの肌は汗をかき、その全身で男臭さを醸し出していた。